ネパールでは病院を選んでも命に係わる!?
どの国でもそうですが、ネパールでも医療は商売です。
しかし、発展途上国でのメインの問題はお金を出しても必ず良い医療が得られるわけではないという事です。
ネパールに観光で行くにしても、長期滞在するにしても、必ず押さえておくべきことを記事にしました。
ネパールの病院システム
ネパールにある病院の種類
ネパールでは、病院と言えるものがいくつかあります。
ホスピタル | これはいわゆる大きな病院です。先生が何人もいてエマージェンシーなどもある病院です。それなりに施設が整っています。 |
クリニック | 個人経営の小さな病院です。総合科(風邪でも何でもOK)、歯科、産婦人科などがあります。医者は大抵一人です。 |
メディカル | これは薬屋(オウサディパサル)に医者をかじったような人がいる場合の事です。ネパールではバイクで転んだ、足に釘が刺さった、犬にかまれたなどの時に行きます。簡単な診断や治療を行います。 |
ここで、気になるのはメディカルです。これは、基本的に薬屋です。しかし、カーテンの後ろに治療スペースがあり、問診して聴診器で音を聞いたり、けがの治療を行ったり、注射を打ったりします。
以下の様な場合は、ネパールではメディカルで十分と考えられています。
- 高熱が出て何日も経っていない
- 子供が熱を出した
- 下痢が止まらない
- 咳が止まらない
- ちょっと血が滴るくらいのケガをした
- ストックのある予防接種
一応ネパールの法律でも、医者と薬屋は別れています。
薬屋はメディカル(医学の基礎と薬学)を勉強して資格を取れば店を開けます。薬を売ることができ、簡単な治療も行えます。
医者は医大で勉強をして、資格を取ると医者になれます。診療、注射、レントゲン、手術などの医療行為を行うことができます。
薬屋では、数針縫う程度の医療行為も行われているようです。注射も普通に打ちますので、医療行為の境目が良く分かりません。
日本では処方箋が必要なレベルの薬も、薬屋で普通に買うことができます。それも、免許を持った薬剤師ではなく、メディカルを勉強中の学生が店番をしていてその人が診断・治療する事もあります。
ただ、郊外や田舎に行くと、その集落にはメディカルしかなく、近くの大きな街に行かないとクリニックすらないという事もよくあります。
また、山の上にある村では薬屋すらなく、近所のおじさんの作るアユルベーダ的な煎じた薬草しか頼れる手段がないことも多々あります。
そのため、ある程度の治療は大目に見られているのでしょう。
病院で診てもらうには
メディカルの場合
基本的に薬剤師1人、あとはお手伝いさんが1人いるくらいなので、言ったもん勝ちです。早く診てもらいたい時は主張するしかありません。
クリニックの場合
規模が小さいので、受付も精算も同じ人が一つのデスクで担当する場合が多いです。
入り口に近い部屋で、人がたむろしているところがカウンターですので、そこで名前と症状を言って、カルテを作ってもらえます。多分、50ルピーくらいだったと思います。カルテと言っても紙切れです。
普通の机にお姉さんが一人座っているだけの場合が多いです。
そこで名前を呼ばれるまで待ち、呼ばれたら診察室に入ります。医師がカルテに書き込んでくれます。それをもって、受付で精算します。
その後、カルテをもって薬屋に行き、カルテを見せて薬を買います。
カルテは持ち帰って構いません。
ホスピタルの場合
ちゃんと待合があって、受付に並んでカルテを作る場合もあれば、病院によっては番号を取って待つ場合もあります。 先にデポジット的な治療費を取る場合もあります。
流れはクリニックと一緒で、呼ばれたら先生のいる部屋に行ってみてもらいます。その後、受付に戻って精算します。
薬は分業なので敷地内の指定の薬屋さんでカルテに従って買います。
治療中に何か道具が必要になる場合は、自分で薬局に買いに行くときもあります。
ちなみに、外国が行くような保険対応の病院は、日本とシステムはほとんど一緒です。薬局ですべての道具や薬を自分で購入する以外は変わりません。
予防注射を打つには
メディカルで対応可能な予防注射であれば、その場で打ってもらい、お金を払って終わりです。薬を取り寄せるために、先に予約が必要な場合もあります。
クリニックの場合は、通常のプロセスと同じです。
ホスピタルの場合は、薬局でどの予防注射を打ちたいか説明して、予防注射用のカード(種類、回数、日付を書き込む欄がある)と薬、注射器を購入します。そのままそれらを持って、エマージェンシー(ER)の部屋に行きます。そこにいる人に言えば、先生を呼んでもらえ、その場で注射を打ってくれます。注射行為は無料です。
入院するには
入院しろと言われれば入院することになりますが、一人ではできません。
ネパールでは点滴も注射も薬も手術道具さえ自分で購入しに行かなければなりません。そのため、自分はベッドで寝ているので、付き添いの人が一緒に住み込む必要があります。
住み込みの人のためのベッドなどはありませんので、スポンジを持ってきてベッドの下かロビーで寝る羽目になります。
また、その都度お金が必要になります。海外旅行保険のキャッシュレス対応病院以外は、お金を持ち歩く必要があります。
付き添いの人も寝たければ個室を取るしかありません。
救急車を呼ぶには
救急車は過去記事で説明しています。「 救急車はそれでも間に合わない-ネパールあるある 」をご覧ください。
基本的には病院に電話して呼んでもらうか、直接ドライバーに連絡を取ることになります。
もし動けるなら人を呼んでタクシーがバイクで行った方が早いです。
医師は持ち回りなので、病院を変えても一緒
どういうことかというと、ネパールでは専門医は少ないです。そして、経験ある医師も少ないです。そのため、ある程度ちゃんと仕事の出来る意思は色々な病院で働いています。
例えば、ある手術で有名な医師Xは、朝一は自分のクリニックで働き、午前中はA病院で働き、午後からB病院で働くします。翌日も朝は自分のクリニックで仕事をして、その後はC病院へ。。。
こんな感じで働いている医師がたくさんいます。
そのため、どの病院であっても、上の医師(トゥーロドクタル)に診断してもらいたい、手術してもらいたいとなると、その医師が他の病院から回ってくる日とその病院での順番を待たなければなりません。
A病院が高級病院で、B病院が普通の病院、C病院が安めの病院だとしても、受けられる治療は同じという事になります。しかし、病院によって費用は異なります。
とにかく医師が不足しており、技術も未発達なため、ネパールの一般の病院(大病院も含む)で良い治療を受けるには時間がかかります。また、その信頼名も微妙です。
ちゃんと直したいなら、選択肢の順番は以下の通りです。
- 自国に戻って治療する
- 外国人病院へ行く
- ローカルの本当に良い病院へ行く
外国人病院かローカル病院で良い医者を選ぶ
Norvic Hospital(ノルヴィック病院)
カトマンズとラリトプルの間に橋があります。その橋のカトマンズ側の川のたもとにこの病院はあります。
海外旅行保険対応で、外国人用のフロアもあります。入り口に警備員もいて、不審な人やお金のない人の侵入を防いでくれます。
建物も新しく、外国人フロアの病室のベッドはかの有名なパラマウントベッドです。電動角度を動かせてで寝心地もとても良いとか。
私の友人はここからここから日本に搬送されましたが、その際の対応もとても良かったようです。
また、政府の要人や軍の偉い人もここを利用しており、特別室には専用エレベーターがあり、一般客に会わずに出入りできるのだとか。
何より交通の便の良いところにあるというのが一番の売りです。お値段は高いですが、まともです。
救急の電話番号:+977-1-4101600
CIWEC Clinic(シーウィック・クリニック)
タメルからラジンパットに行く道を右に入ったところにあります。ホテル アンバサダー バイ ACE ホテルズの裏あたりです。
ウェブサイトがあるのですが、サーバーが落ちているっポイです。ネパールあるあるです。
こちらも、海外旅行保険対応です。無保険だと、入院一晩3~5万ルピー掛かるそうです。
内科、小児科、歯科があり、建物もそこまで古くありません。救急病院ではありませんが、時間外対応もしてくれるようです。
私の友人も何度も入院していますが、とても良い病院の様です。
外国人の先生もいて、まともな診療が行われているようです。
電話番号:+977-1-4424111, +977-1-4440100
Nepal Cancer Hospital & Research Center(キャンサーホスピタル)
サドバトから南にゴダワリロードを進み、ハリシッディという場所にあります。
何年か前にできた新しい病院ですが、MRIやCTもそろえる最新のがん治療の病院です。外国人専用というわけではありませんが、ネパール中からがん患者が集まります。
施設も最新のものです、かなりきれいです。様々な検査機器も備えています。
普通の病気の際に行く病院ではありませんが、ここで健康診断的な全身検査が可能です。いわゆる人間ドックですね。
たしか、5人以上集まれば割引もできたはずです。血液検査、便検査、エコーなど様々なものがあり、色々なプランが選べるようです。
友人の一人はここで人間ドックを受けて腫瘍が見つかりました。その後日本に戻り手術を受けて、現在順調に回復されています。なので、まともだと言えます。
電話ん番号:+977-1-5251312
ネパールの病院の診断能力はかなり疑わしい
ネパールは貧富の差が激しくて、お金があるところはかなり裕福です。中流階級の日本人など太刀打ちできるレベルではなく、普通に億単位のお金が動く人がゴロゴロいます。
国は貧乏でも特定の個人は裕福なので、資本を武器に最新機器を揃えた巨大な私立病院もいくつかカトマンズ内に設立されています。
しかし、大きな病院だろうと有能な医者以外にみてもらうのは微妙です。ネパールの医師の診断能力はかなり微妙だからです。
目に見える大きな傷、大きな腫瘍、ネパールではやっている病気などは、どの医者でも治療が可能です。しかし、体の中のどこに原因があるのか分かりにくい病気、特に内蔵や神経、脳に問題がある場合は、ネパールでは治療できないと思った方が良いです。
友人の一人は原因不明の病気にかかり、ネパールの最新の巨大病院で診てもらっていました。飛行機の乗れないほど悪化していたのですが、持ち直して緊急帰国した後、日本で亡くなってしまいました。
その話を聞くと、色々な病気の可能性を指摘しても、それは検査する必要はないとか、意思が患者の意見を受け入れなかったりしたそうです。
また、他の病院でネパール人の友人が受けた対応は次のようなものでした。
診察中に自分の考え(こういう病気じゃないだろうかなど)を言うと「私は医者だぞ?私に意見するのか?私が違うと言ったら違う。」とかなり高圧的な態度をとられて、結局体調不良の理由すら見つけることはできませんでした。
また、体調が悪くて歩けなくなったり、ずっとしんどい状態でも、検査して医者が原因を見つけられなかったら「ケヒ チャイナ」(悪いところは何もありません)と言って患者を追い返すのが日常の光景です。
ネパール国内では医療の水準は決して高くありません。医師が足らず、研修中の学生に見させたり、まともに育てることもままなっていない状態です。
それで、海外に派遣して医療を勉強させている段階です。
お金さえ出せば、最新の機器が揃った病院に行けます。しかし、実際は検査をしてもそこから病気の原因を見つけ出せる経験のある医師がほとんどいません。海外から機械の使い方を学んで帰ってきた若い医師が、他の医師に教えているというような状況です。
ですから、日本に帰れる余裕があるなら迷わず日本に戻って治療をすることをお勧めします。
ネパールでかかる可能性のある病気
ネパールでは日本では掛かることのない様々な病気にあふれています。
狂犬病:感染した犬、猫、猿などの動物に噛まれたり引っかかれたりして感染します。
マラリア:タライ地方の暑い所でたまに感染するそうです。ハマダラ蚊に刺されて感染します。
デング熱:やぶ蚊にさされて感染することがあります。今年は大流行して、主に南部のタライ地方ですが、カトマンズでも数十人が亡くなりました。
腸チフス:雨季に衛生状態の悪いところでご飯を食べたりして、感染させあったりということがよくあります。
ウイルス性A型肝炎:タライ地方で時々ネパール人が感染したという話を聞きます。
でも、一番多いのは下痢ですね。食べ物の状態があまり良くなく、ひどい下痢になる人もいます。食べ物が合わなかったり、油が古くてなる場合もあります。
細菌性のものも多く、高熱を伴う事もあります。早めに近くのメディカルか病院に行きましょう。
他にも水疱瘡や風疹などもネパールでは普通に子供が感染していますので、予防接種がちゃんと効いていない人は感染することがあります。
なお、日本では何千円、何万円もかかる予防接種は、ネパールではもっと低い値段で受けることができます。大金を出して掛かるか分からない病気の備えに投資してもよいですが、長期滞在の場合は現地で受けるという事も可能です。でも、その間に病気に掛からないという保証はありません。
まとめ:海外旅行保険は必須
ネパールには様々な病気や事故の危険が潜んでいます。バスが崖から落ちる場合もあります。体調を崩すこともあるでしょう。
そんなことを恐れていたら、世界のどこにも旅行できません。
ですが、備えあれば患いなしなので、海外旅行保険は必ず掛けるようにしてください。ほんの数千円で安全が買えるのなら、それに越したことはありません。
ネパールにお越しになる際は、健康で楽しい旅行をお楽しみください。
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