崩れそうな家はいつまでもつのか-ネパールあるある

崩れそうな家はいつまでもつのか-ネパールあるある

ネパールには古い歴史ある建物がたくさんあります。観光して回っていると、よく見かける光景があります。

そう、それはつっかえ棒

大地震の復興に時間が掛かる驚愕の理由

2015年4月25日にネパールではマグニチュード8相当とされる大地震が起こりました。アジアの極貧国のひとつであるネパールでは、当然ながら復興には時間がかかります。

いまだに崩れたまま放置されている家がたくさんあり、寺院なども現在に至って再建中のところがたくさんあります。

一般の家や一部寺院では、つっかえ棒が取り付けられています。家が崩れないように、という事ですね。

どうして、これだけの時間がかかるのかというと、ネパール人曰く政治的な理由があるのだとか。

この話はネパール政府の公開した情報ではなく、朝からチヤを飲みながら時間をつぶしているおじさんたちの言葉であることを始めに言っておきます。

ネパールは袖の下社会なので、復興は時間がかかるとのこと。

例えば、政府がある寺院の復興のためにお金を投入したとします。まず、お金は全部業者に払われます。そして、5割は役人にキックバックされます。そして、4割が工事業者に着服され、残りの1割が実際の工事に使われるそうです。

そして、役人はキックバックをもらっているので、工事を急げということはできませんが、自分は懐を温かくすることができるという仕組みだそうです。

まぁ、実際そうなのかは分かりませんが、10人に聞いたら10人ともこういう答えが返ってくるのは事実です。誰も政府を信用していません。

次に、ネパールで地震が起こった後に実際に起こった出来事もお伝えしましょう。

地震直後に各国から大量の義援金や支援物資が送られてきました。

支援金は各地のNGOや個人、政府宛に様々な形で送金されています。しかし、ネパールの銀行の仕組み上、海外からの送金はすべてネパール国営銀行を通して処理されます。政府は、義援金が送られ始めたら、その送金をすべて強制的に政府の口座に入るように法律を改正しました。

政府が管理して有効利用する目的で。そのため、義援金目的の送金はすべてネパール政府に吸い取られたと言われています。

ちなみに、この件は実際に新聞やニュースなどで報道されています。

そのため、私の知る団体などは義援金ではなく、個人から個人の口座に小分けで数十万単位で送金してもらい、それを復興利用していました。

家が全壊した人が10万ルピー(家を建て直すために必要な金額の30分の1にも満たない)すら受け取れていない場合がほとんどですし、役人が審査する日に家にいなければ申請は却下されると言いう事態も発生しました。

たくさんの寄付はどこに行ったのでしょうか。。。

また、空港に支援物資とともに到着した救援隊は、恐ろしい知らせを受けました。支援物資にすべて税金をかけるので、税金を払わないと空港で破棄しなければならないというのです。

この問題に直面し、空港で支援物資を破棄せざるを得ずに、救援隊だけがネパール入りしたという事実があります。実際、空港では大量の支援物資が山積みのまま放置されている様子がニュースで報道されていいました。

また、中国から送られてきた支援物資のテントは、政府によって一部役人の関係者に配られた後は、販売されていました。

まぁ、お金のない国はこんなもんです。

さて、本題のつっかえ棒の話に戻りましょう。

いや、それ以前からあるのでは?

ネパールには古い家がたくさんあります。

地震発生までは、多くの家はウォールシステムと言って、レンガを分厚く積んで壁全体で建物を持たせる建築方法でした。

さらに、古い家はレンガのつなぎはセメントではなく、土を使っています。

さらに、そうした古い家は床の造りは古い家から順に以下のようになります。

  1. 木の梁と土で固めた床
  2. セメントの捨てコン状態の床
  3. 一応鉄筋を組んで、気持ちだけの梁を作ったコンクリートの床

これらの家には、コンクリートの柱はありません。レンガの壁の上に床がのっかっています。

ですから、揺れたら簡単に崩れます。本当に。

もちろん、最近の家はピラーシステムと言って、鉄筋コンクリートの柱と煉瓦の壁で出来ています。それでも、鉄筋の数や強度、柱の細さの問題で多くの家が倒壊しました。

しかし、古い家は隣の家と接合するかの如く合体して家を建てていたため、古い家の多くは地震の揺れを耐えたのです。そのため、多少傾いてはいるけど、まだ住めるという状態になってしまいました。

そこで、人は知恵を使います。

そう、崩れないようにつっかえ棒を付けようとなります。

で、このようになるわけです。

実際、本当に壁が崩れかけて支えている家もあれば、形だけの家もあります。壁が本当に斜めになって、道の方にせり出している家もあります。

ちなみに、地震後につっかえ棒のある家はかなり増えましたが、もともと設置されている家もありました。

つまり、家の造りが弱いってことですね。

結論:触れるな

カトマンズのアサン地区や、ラリトプルのパタンの中を歩かれると、つっかえ棒のついた家をたくさん目にすると思います。

木のつっかえ棒から、鉄の棒、鋼鉄の柱などなど。壁通しを支えているものもあります。

大抵の家はすぐには崩れませんが、本当に崩れかけな家もありますので、レンガの壁が怪しいと思ったら近づかないようにして、決して触らないでください。

家の塀などもものすごく斜めになっているものもいまだに存在します。

せっかくの旅行ですから、命は大事にしてください。