ネパール語での子音の表記と発音について

ネパール語での子音の表記と発音について

ネパール語の子音はたくさんあります。一般的に36音あると言われています。ただ、そのうち3音は結合文字なので、33音とも言えます。そして、これに含まれない発音が1つあります。含まれない一つについては、母音の記事にて説明されています。

子音はネパール語でव्यञ्जन वर्ण(wyanjan barna)ベンジャン バルナと言います。

日本語と違って、ネパール語の子音には半音というものがあります。この音は英語や他の言語にはあっても、日本語には存在しない音です。

さらに、日本語に似ているけど、微妙に違う音が複数あります。例えば、タの音は4種類ありますが、カタカナで覚えてしまうと一つに集約されてしまいます。こういった無理やり変換をすると、のちのち困るので気を付けましょう。

なお、子音は本来は半音で表記するものですが、便宜上多くのテキストでは一覧表には母音の「अ」が付加された状態で記載されています。この記事でも発音しやすいので、そのように記述しています。

アルファベットの表記については、デバナガリ文字を覚えるまでは、自分が発音を理解するためにメモする際に用いてください。また、アルファベット方式でネパールを語入力する際に、この一覧表のとおりに入力するとその文字が表示されます。ただし、鼻音と巻き舌の発音に関しては、変換が必要な場合があります。

子音の一覧表

ここまでが、基本の子音33音です。上半分の表では、発音時の息の出し方によって分かれていて、それぞれの行で無気音、有気音、鼻音に分かれています。

jhaの表記に関しては2種類ありますが、どちらでも構いません。右の方が一般的なフォントで表示されます。左の方はネパールでも良く表記される方法ですが、ネパール語の専用フォント(同じデバナガリ文字でもヒンディー語ではなく)でないと表示できない場合が多い。

下半分の表では、息の出し方による区分はされていません。

上記の3音も通常の文法解説書では子音の一覧に含まれます。これらは、二つ以上の子音を引っ付けで生成した結合文字です。しかし、一つの子音として扱われています。

子音の発音と記号について

有気音、無気音については以前の記事「有気音と無気音-ネパール語表記(デバナガリ文字)」を参照してください。

鼻音というのは、日本語のンの音に近いですが、鼻に抜ける音です。風邪をひいたときの鼻声のような音で、発音するのを恥ずかしがる方もいますが、ネパール語では正常な発音です。

「क」行について

発音は、日本語のカ行に近く、以下のような感じです。

「カ、キ、ク、ケ、コ」または「ガ、ギ、グ、ゲ、ゴ 」

無気音と有気音の違いを付けてください。鼻音に関しては小さな「ン」と無気音の「ガ」を続けて発音した「ンガ」に近いです。

半音になった場合、「k」のみの発音になるので、日本語には無い音です。半音は日本語に似た音で表現するためには、小さな「ウ」の音を後ろに足したものに近いです。基本は息が出るだけで母音の発音はしないので、はっきり発音しないボソッという感じです。ですので、半音の発音は「クッ」または「グッ」という感じです。

鼻音の半音の場合は「ン」になり、最後に「グ」の口になりますが、発音しません。

「च」行について

発音は、日本語のタ行に「ャ」を付けたものに近く、以下のような感じです。

「 チャ、チ、チュ、チェ、チョ」または「ジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョ」

無気音と有気音の違いを付けてください。鼻音に関しては小さな「ン」と「ニャ」を続けて発音した「ンニャ」に近いです。

半音になった場合、「ch」のみの発音になるので、日本語には無い音です。 半音は日本語に似た音で表現するためには、小さな「ウ」の音を後ろに足したものに近いです 。基本は息が出るだけで母音の発音はしないので、はっきり発音しないボソッという感じです。ですので、半音の発音は「ツッ」または「ズッ」という感じです。

鼻音の半音の場合は「ン」になり、最後に「ニャ」の口になりますが、発音しません。

「ट」行について

発音は、日本語のタ行を巻き舌にしたものに近く、以下のような感じです。

「タァ、ティ、トゥ、テェ、トォ」または「 ダァ、ディ、ドゥ、デェ、ドォ 」

無気音と有気音の違いを付けてください。鼻音に関しては小さな「ァ」と巻き舌の「ナ」を続けて発音した「ァナ」に近いです。

半音になった場合、巻き舌の「T」のみの発音になるので、日本語には無い音です。 半音は日本語に似た音で表現するためには、小さな「ウ」の音を後ろに足したものに近いです 。基本は息が出るだけで母音の発音はしないので、はっきり発音しないボソッという感じです。ですので、半音の発音は巻き舌で「トゥ」または「ドゥ」という感じです。

鼻音の半音の場合は巻き舌の「ン」になります。

「त」行について

発音は、日本語のタ行にかなり近く、以下のような感じになります。

「タ、ティ、トゥ、テ、ト」または「ダ、ディ、ドゥ、デ、ド」

無気音と有気音の違いを付けてください。鼻音に関しては日本語の「ナ」と同じです。

半音になった場合、「t」のみの発音になるので、日本語には無い音です。 半音は日本語に似た音で表現するためには、小さな「ウ」の音を後ろに足したものに近いです 。基本は息が出るだけで母音の発音はしないので、はっきり発音しないボソッという感じです。ですので、半音の発音は「トゥ」または「ドゥ」という感じです。

鼻音の半音の場合は口を閉めない日本語の「ン」です。

「प」行について

発音は、日本語のパ行に近く、以下のような感じになります。

無気音なら「パ、ピ、プ、ペ、ポ」、有気音なら「ファ、フィ、フゥ、フェ、フォ」

濁音は「バ、ビ、ブ、ベ、ボ」

無気音と有気音の違いを付けてください。鼻音に関しては日本語の「マ」と同じです。

半音になった場合、「p」のみの発音になるので、日本語には無い音です。 半音は日本語に似た音で表現するためには、小さな「ウ」の音を後ろに足したものに近いです 。基本は息が出るだけで母音の発音はしないので、はっきり発音しないボソッという感じです。ですので、半音の発音は「プッ」または「ブ ッ 」という感じです。

鼻音の半音の場合は口を閉める日本語の「ン」です。

「य」について

発音は、日本語のヤ行に近く、以下のような感じになります。

「ヤ、イ、ユ、ィエ、ヨ」

ただし、「अ」(a)の音の場合は「エ」と発音します。「आ」(aa)の音の場合は通常通り「ヤ」と発音します。

半音になる場合はほとんどないのですが、小さい「ェ」の音になるはずです。

「र」と「ल」について

日本人には違いの見つけられない2音について。

「र」の音はRの音なので日本語にはありません。そもそも、巻き舌なので日本人の不得意な発音です。「ल」の音はLの音なので、日本語のラ行と同じです。ただ、日本語のラ行はローマ字だとRで表記するという問題があります。大半の日本人はこの音の聞き分けも発音もできません。

「र」の発音は、Rの音を意識せずに巻き舌にして低い「ゥ」の音を発するのが元になっています。ラ行なのですが低い「ゥ」だど思ってください次のような発音になります。

「ゥラ、ゥリ、ゥル、ゥレ、ゥロ」

先頭の小さな「ゥ」は発音しないぐらい小さな音でいくとちょうどいいです。そして、常に巻き舌です

「ल」の音はまさに日本語のラ行です。

「ラ、リ、ル、レ、ロ」

この時舌は、発音の直前に上の前歯の裏に当たってから離れます。

「व」について

発音は、日本語のワ行の音に近く、 以下のような感じになります。

「ワ、ウィ、ウ、ウェ、ウォ」

ただ、単語によっては「ब」と同じ音になります。しかし、音が変化する規則はありませんので、どの単語で音が変わるのかはすべて覚えるしかありません。

「अ」(a)の母音が付く場合は「ウ」または「ウォ」の音に変化することが多くい、これも覚えるしかありません。例えば「स्वर」は「ウォ」の音になります。

「श」「ष」「स」について

発音は、日本語のサ行とほぼ同じで、以下のようになります。

「サ、シ、ス、セ、ソ」

3つの文字すべて同じ音で発音します。

ただ、これはここ数年の現代ネパール語での話です。国立大学の言語学科が教えるネパール語の事で、バフン族の人(ネパール語が母語)が話すネパール語でもあります。その他の部族、例えばネワール族、タマン族などは「श」と「ष」を「シャ」と発音します。

それは間違いではなく、昔のネパール語ではそのように「シャ、シ、シュ、シェ、ショ」と発音していました。ネパール語が母語でない大半のネパール人はこの古い方法で発音してしまいます。

どの文字がどの単語に使われるかは表記が決まっているので、単語ごとに覚える必要があります。

半音はSの音で、「ス」の母音を発音しない、息が出るだけのかすれた音です。

ちなみに、「श」をモトサ(厚いサ)、「स」をパタロサ(薄いサ)と言います。

「ष」の音は単語によって「ख」の発音になることがある。例えば、「वर्षा」(warshaa)を「warkhaa」と発音する人がいます。

「ह」について

発音は、日本語のハ行に似ていて、以下のようになります。

「ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ」

全く同じのように感じるかもしれません。違うのは、音の低さというか音を発する場所です。日本語のハ行は口の中の前の方で発音しますが、ネパール語ではのどぼとけの辺りから発する非常に低い音です。聞きようによってはア行と同じように聞こえます、

半音は、日本語のアの口で行きだけ吐く音です。

「त्र」「क्ष」「ज्ञ」について

これら3つは結合文字ですが、子音の一覧に載っているため、ここでも紹介します。結合文字とは二つ以上の子音が合体してできた文字の事です。

「त्र」は「त」の半音と「र」の半音が結合してできた文字で、発音は以下のような感じになります。

「トゥラ、トゥリ、トゥル、トゥレ、トゥロ」

「क्ष」は「क」の半音と「श」の半音が結合してできた文字ですが、発音は「च」と同じです。

ただし、一部の単語(多くの場合この文字が単語の先頭以外にある)では本来の音である「クシャ」という音になる。この場合の前半は半音なので日本語の「ク」とは異なる。

「ज्ञ」は「ज」の半音と「ञ」の半音が結合してできた文字ですが、発音は「ジャ」のようではなく、以下のような感じになります。

「ギャ、ギ、ギュ、ゲ、ギョ」

その他の記号について

その他の表音記号と一般的にネパール語表記で使用される使用される記号を一覧表に示します。

チャンドラビンドゥは文字の上につき、該当文字の母音を鼻音化します。

シルビンドゥは子音の上につくのですが、最近では母音の上に表記される場合もあります。

コロンは本来は長音で、Hをつけて語尾を伸ばす音です。しかし、現在のネパール語では、一部の古い単語に表記上付くが発音しない場合が多い。例えば、「दु:ख」(dukha)「पुन:」(puna)などである。

半音記号は子音に含まれる母音を失くして、半音で発音させるための記号である。この記号が使用されるときは子音は全音で記述される。なお、単語の末尾に子音が来る場合はこの記号が無くても半音で発音されることが多い。

文末記号は文章を終わりを表す。句点やピリオドと同じ。

カンマは読点を表す記号である。