छの活用-ネパール語文法(述語)

छの活用-ネパール語文法(述語)

前回に引き続き、活用シリーズの第2回は छ の活用です。

ネパール語は主語によって述語が活用します。主語の種類に関しては、以下の二つの記事を参照してください。

簡単に言うと、自分と相手の関係を考慮して、自分より上なのか、自分と同列または近しい関係なのか、自分よりかなり下なのかを述語の活用によって表現するということです。

छ の意味と用法

この活用はネパール語の中でもっともよく使われる述語の一つで、「物の存在」つまり主語が存在するのかしないのかを表します。

英語でいうところの”There is “に相当し、「(主語)が存在する」や「(主語)がある」の「ある」に位置する言葉です。

文法は日本語と同じ流れで、(主語)+(目的語)+(述語)という流れになります。述語の部分に基本的には動詞を活用したものが置かれるのですが、物の存在の場合は「छ 」の活用が置かれます。

この語は非常によく利用され、物理的なものだけでなく、ものの状態や感情を説明する際にも用いられます。また、確実未来形、現在完了形、過去完了形などの時制でも用いられます。ですから、単純に何かがあるか無いかを表すだけではないのですが、この記事では基本的な意味について説明しています。

以下に、肯定文と否定文の活用を順に示します。

छ の活用-肯定文

「तँ 」と「ऊ 」の複数の活用は存在しないので、複数として表したい場合は「तिनीहरू 」や「उनीहरू 」の活用を使用することができます。

「तपाईं 」と「उहाँ 」の活用は、「हो 」の活用と同じです。ですから、物の識別なのか存在なのかは文脈から読み取る必要があります。しかし、実際は日本語に訳す場合はどちらに当たるかは特に意識する必要はなくなります。例文の日本語訳からその点が読み取れると思います。

以下に例文を示します。

ネパール語日本語
म कक्षामा छु।私は教室にいます。
तपाईं त्यहाँ हुनुहुन्छ। あなたはそこにおられます。
तिमी स्कूलमा छौ। 君は学校にいる。
तँ सन्चै छस्। お前は元気だ。
उहाँ अफिसमा हुनुहुन्छ। あの方は会社におられます。
उनी खुशी छन्। 彼は喜んでいます。
ऊ मोटो छ। あいつは太い。

「म 」の場合、私が教室にいる、つまり物理的に存在することを表している。「कक्षा」の後ろについている「मा 」は場所を示す助詞で「~に」を意味している。

「तँ 」の場合、お前が元気という状態で「ある」ことを表している。ここから、どのような健康的(または精神的)状態であるかを表すことができることが分かる。この場合は、健康状態は目に見えないものの状態を表している。

「उनी 」の場合、彼が喜びという感情で「ある」ことを表している。ここから、どのような感情であるかを表すことができることが分かる。

「ऊ 」の場合、太いという状態で「ある」ことを表している。ここから、どのような物理的状態であるかを表すことができることが分かる。この場合は目に見えるものの状態である。

このように、単純に「ある」または「いる」を意味するとはいえ、日本語のように様々な場合に用いられることが分かる。

छ の活用-否定文

「तँ 」と「ऊ 」の複数の活用は存在しないので、複数として表したい場合は「तिनीहरू 」や「उनीहरू 」の活用を使用することができます。

「तपाईं 」と「उहाँ 」の活用は、「हो 」の活用と同じです。ですから、物の識別なのか存在なのかは文脈から読み取る必要があります。しかし、実際は日本語に訳す場合はどちらに当たるかは特に意識する必要はなくなります。例文の日本語訳からその点が読み取れると思います。

以下に例文を示します。

ネパール語日本語
म घरमा छैनँ ।私は家にいません。
तपाईं यहाँ हुनुहुन्न । あなたはここにおられません。
तिमी कोठामा छैनौ । 君は部屋にいない。
तँ बिरामी छैनस्। お前は病気ではない。
उहाँ पसलमा हुनुहुन्न । あの方は店におられません。
उनी दु:खी छैनन्। 彼は悲しんでいません。
ऊ दुब्लो छैन । あいつは痩せていない。

「म 」の場合、私が家にいない、つまり物理的に存在しないことを表している。

「तँ 」の場合、お前が病気という状態で「ない」ことを表している。ここから、どのような健康的(または精神的)状態でないかを表すことができることが分かる。この場合は、健康状態は目に見えないものの状態を表している。

「उनी 」の場合、彼が悲しみという感情で「ない」ことを表している。ここから、どのような感情でないかを表すことができることが分かる。

「ऊ 」の場合、痩せているという状態で「ない」ことを表している。ここから、どのような物理的状態でないかを表すことができることが分かる。この場合は目に見えるものの状態である。

このように、単純に「ない」または「いない」を意味するとはいえ、日本語のように様々な場合に用いられることが分かる。

よく使う例文「○○はどこにありますか?」

「छ 」の活用を使ってよく使う例文を考えてみよう。

” पानी कहाँ छ ? “ – 水はどこにありますか?

この文章は「水」がどこに存在するかを尋ねる疑問文です。

” पानी यहाँ छ। “ – 水はここにあります。

この文章は前述の質問に対する答えで、「水」が「ここ」に存在することを表した文章です。

「पानी 」は人ではないために、活用の分類としては「ऊ 」になるので、「छ 」が使用されているという事になります。

単語の意味は以下の通りです。

単語意味
पानी
कहाँ どこ
यहाँ ここ

ちなみに、肯定文と疑問文の違いは文末の記号だけです。この例文の場合は、疑問文で使われる「कहाँ 」があるので分かりやすいですか、「家は大きいですか?-घर ठुलो छ ?」などの場合は 発音だけでは疑問文なのかが分かりにくくなります。そのため、発音する際は文末の「छ 」の音をしっかり上げることによって、疑問文であることが聞いている人に伝わります。