お前のものは俺のもの、ネパールの道は共有物?
ネパールでは協力の精神が満ち溢れています。みんなで助け合うのは素晴らしい事です。
しかし、ネパールではジャイアン的な助け合いの精神が溢れているのです。
これ、非常に迷惑です。
この記事では、ネパールに来ると外国人が眉をひそめる事とその原因が何かを明らかにします。
ネパールで良く見る路上に放置されたモノ
トップの写真はパタンのマンガルバザールの一番人通りの多い道です。朝と夕方には通勤、通学で毎日ひどい渋滞が発生する道でもあります。
そこに鎮座するもの。それは、砂。
家の前に置いてあることから、この家の中で小さな改築または増築工事が行われることは必至です。
ご存知の方と思いますが、ネパールの家はレンガとコンクリートでできています。つまり、この後この横に同じ量がそれ以上の砂利、レンガ数百個、セメント袋数個がやって来て鎮座する訳です。
恐らく、この3倍以上の場所が占有されることになります。ここは、公共の道です。
しかし、この程度は大したことはありません。ただの小さな工事ですから。
例えば、こんな感じも良く見かけます。
建設中の家の前の歩道と車道に建設資材が鎮座する光景です。歩道の大部分が占有されています。
仕上げ工事に小さい砂利の混ざった砂はそのまま工事で使えないので、砂と砂利を分別する作業も公道上で行われます。
また、解体中の家のガラももちろん公道に置かれます。
こういう状態ですね。
歩行者からしたら邪魔以外の何物でもないし、車やバイクからしても道が狭くなって不便です。
何でこんな感じで道に置くのか聞いたことがあります。その時の答えです。
荷物を下ろしている業者:「さぁ?ここに置けって言われたので。」
施主:「ほかに置く場所ないし、どうしろっていうんだ?」
ネパール語には「ケ ガルネ?」という便利な言葉があります。これは、「どうすればいいんだ?」という意味なのですが、自分ではどうしようもないお手上げな時に使う言葉です。
この言葉、ネパールではほぼ毎日聞くことができます。
一般人だけじゃない、公共事業でも公道に放置
公共事業と言えば、道路工事ですね。インフラ整備に力を入れているネパールでは、上水、下水、道路拡張などの理由で、頻繁に工事が行われます。
下水工事の場合は、土管が道路の脇に大量に放置されます。道の半分をふさぐこともあります。
正確には仮置きなのですが、日本の建設現場のように置く場所を準備してから工事するなんてありません。今から設置する場所の近くに荷下ろしします。そして、工事は一週間以上先なんてこともざらです。
子供たちが土管に入って遊んでいます。
道路は土管が邪魔で渋滞します。
また、道路拡張工事のために、道全体にまず砂利をひきます。道路全体を10センチほど覆う大量の砂利は工事が始まる数日前に道路の真ん中に荷下ろしされます。
つまり、道の真ん中に砂利の山が突然出現する訳です。これで、道路全体の半分くらいが埋まることも多々あります。
公共工事がこんな具合なので、個人で工事しても「公道において何が悪い?」という意識が生まれるのでしょうか?
ネパール人的考え方はジャイアン流!?
冒頭でもふれたように、ネパールでは人助けが普通です。それは、いいことです。しかし、ネパール人の頭の中は次の様な考えなのです。
「困っていそうな人がいる→よし、助けてやろう」という精神です。
ここで、キーポイントなのが、「困っている」ではなく「困っていそう」という所です。
自分の考えが中心で、他の人がどう感じているかではなく、「自分がこう感じているので、他の人も同じ考えだ」というものです。
これはかなり押し付け的な考えで、ジャイアンそのものです。
自分が物の置き場に困っていたら、「家の前に広い場所(公道)があるから、ここに置けば楽だ!」という直結思考です。
そして、それがどんな結果を生むのか考えません。
何度も書いていますが、ネパール人は 「 本当に先のことを考えない 」 人たちなのです。日本人的思考から見れば新人類と言っても過言ではありません。
問題にぶち当たらないと考えることを始めません。問題にぶち当たっても思考停止して、放置する人も多々います。
- 文句を言われても「ケ ガルネ?」(どうしようもない)で済ます
- 道が渋滞していたら反対車線が空いているのでそこを走行し、さらに渋滞を悪化させる
- 先に行きたいので交差点で左右の隙間にどんどん突っ込み、信号待ちバイクで交差点が反対車線まで埋まる
- 「俺のために道を譲れ」的な人が大量
- レストランでオーダーを作り始めて材料がないことに気づき買いに走る
- レストランでオーダー通すのを忘れていて苦情を言うと「もうすぐ出来る」と言いつつこっそり作り始める
こんな感じなので、何かアドバイスをしてあげても、「ヘロン」(まぁ、何とかなるよ。様子を見よう。)という返事しかしないのです。
結論:ネパール人が日本人と同じように考えるなどと過度な期待はしてはいけない
ネパールにはいろいろな方が来られます。ボタンティアをしよう、人助けをしよう、ビジネスを始めようなど、様々です。
しかし、大抵の人は「思った通りに物事が進まない」、「時間通りに始まらない」、「相手が非常にやる気がなさそうで不誠実にみえる」といった事で頭を悩まされます。
ネパールの人たちは、基本的に「考え始めるのが遅く、相手の考えは一切考慮しない」という事を肝に銘じておくと、イライラしなくて済みます。
彼らは頭が悪いのでも、不誠実なのでもなく、ただ本当に純粋で(まだ)何も考えていないだけなんです。
ネパール在住7年目に入った私でも、まだ時々イライラさせられることがあります。そういう時は、「ここはネパールだ。 彼らに悪気はなくて、こういう人たちなんだ」と思うようにしています。
ネパールに観光に来られる皆さま、ぜひ心穏やかに過ごしてくださいませ。
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