動詞の活用(単純現在形)-ネパール語文法
ネパール語もそうですが、どの言語でも会話のほとんどは動詞で成り立っています。前回までに扱ったのは “हो ” -識別と”छ -存在”の活用です。これらはよく使いますが、これだけでは全く会話は成り立ちません。
「する」「行く」「食べる」など、行動は動詞で表現します。ネパール語では、述語の部分は主語に応じてすべて活用します。
ネパール語の動詞についての解説
動詞の原形はヌで終わる
日本語だと動詞は「する」「買う」「行く」など、すべて「ウ」の音で終わるように、ネパール語でもルールが決まっています。
ネパール語の動詞の原形(活用する前の形)はすべてヌ( नु )で終わります。
動詞の原形 | 発音 | 意味 |
गर्नु | garnu | する |
खानु | khanu | 食べる |
आउनु | aaunu | 来る |
この最後の部分を取り除いたものを「語幹」と言います。この語幹に、活用語尾を付加して動詞を活用します。
動詞の種類は3種類
タイプ1:語幹が子音で終わる動詞
ネパール語では日本語のように子音と母音が常にセットというわけではありません。子音のみ、つまり半音という事もあります。
タイプ1の動詞は、語幹の最後が子音の半音で終わります。
動詞 | 構成 (発音) | 語幹 | 意味 |
गर्नु | गर् + नु (gar + nu) | गर् | する |
बस्नु | बस् + नु (bas + nu) | बस् | 居る、座る |
लेख्नु | लेख् + नु (lekh + nu) | लेख् | 書く |
タイプ2:語幹が単数母音で終わる動詞
タイプ2の動詞は、語幹の最後が単数母音で終わります。
母音単数のみが語幹であるという動詞は聞いたことがありません。つまるところ、子音と母音のセットで終わるというという事になります。
動詞 | 構成 (発音) | 語幹 | 意味 |
खानु | खा + नु (khaa + nu) | खा | 食べる |
लिनु | लि + नु (li + nu) | लि | 受ける |
दिनु | दि + नु (di + nu) | दि | 与える |
タイプ3:語幹が複数母音で終わる動詞
タイプ3の動詞は、語幹の最後が複数母音で終わります。
動詞 | 構成 (発音) | 語幹 | 意味 |
आउनु | आउ + नु (aau + nu) | आउ | 来る |
पकाउनु | पकाउ + नु (pakaau + nu) | पकाउ | 料理する |
बनाउनु | बनाउ + नु (banaau + nu) | बनाउ | 作る |
活用語尾は主語によって決まる
活用は、動詞の語幹に活用語尾を付加することで行われます。
この種類は多く、動詞のタイプだけでなく、主語が何かによって変わります。
主語の分類と使い分けは「ネパール語の人称代名詞(主語)」の記事をご覧ください。その記事の人称代名詞をもとに、動詞の活用一覧表はできています。
その中で「あなた」-” तपाईं “と、「あの方」-” उहाँ “は、動詞のタイプが変わっても活用方法は同じです。それ以外に関しては、タイプ毎に異なります。
動詞がどのタイプに属するかを確認し、それに合った一覧表を参考にして動詞を活用することができます。
よく使う動詞に関しては、自分で活用一覧表を作ってノートに書いてみると覚えやすいです。また、口に出して発音しながら練習すると、より覚えやすくなります。
動詞の活用一覧表
以下に、タイプ1からライプ3までの動詞の活用を一覧表にして示します。
タイプ毎に、肯定文、それに続き否定文を示します。
タイプ1(子音で終わる)一覧表
動詞のタイプ1の肯定文の一覧表です。
次に、否定文の一覧表です。
” तपाईं “と” उहाँ “は括弧の中が正しい活用なのですが、実際は括弧でくくられていない方が使用されます。その理由については、タイプ2のところで解説します。
これらの表を参考に動詞の語幹、この表であれば「बस्」の部分を他のタイプ1の動詞の語幹と入れ替えることで、他の動詞の一覧表が作れます。
例えば、「私は仕事をする」であれば、「म काम गर्छु |」という感じになります。
タイプ1の動詞を使った活用の例を以下に記します。
ネパール語 | 日本語 |
あたなは仕事をする | तपाईं काम गर्नुहुन्छ | |
君は本を書く | तिमी किताब लेख्छौ | |
あいつは話を聞かない | ऊ कुरा सुन्दैन | |
タイプ2(単数母音で終わる)一覧表
動詞のタイプ2は、肯定文では半音の” न् “を活用語尾との間に入れ、否定文では鼻音の” ँ “を活用語尾との間に入れます。それ以外は、タイプ1と基本的に同じです。
動詞のタイプ2の肯定文の一覧表です。
次に、否定文の一覧表です。タイプ2だけは、否定文の活用が2種類存在します。まずは、通常パターンの活用法です。
こちらも、 ” तपाईं “と” उहाँ “は括弧の中が正しい活用なのですが、括弧でくくられていない方を通常使用します。その理由は、次の代替パターンで理解できます。
次に否定形の代替パターンの活用法です。
この活用は、チェットリ族などのネパール語を母国語とする人たちがよく使う活用です。タイプ2でしか使えないのですが、 ” तपाईं “と” उहाँ “はタイプが異なっても同じ活用のために、使用することができます。
その理由は、誤解が発生するからです。
” जानुहुँदैन “は「行きません」と訳せるのですが、「行ってはいけません」と訳すこともできます。” हुँदैन “が禁止を表す「ダメ」のように使われるため、この問題が発生します。
それで、” जानुहुन्न “の方がふさわしく、間違ってとらえられることがありません。同じ活用なので、タイプ1とタイプ3でも使用されるようになりました。
これらの表にある活用語尾を同じタイプの他の動詞の語幹と入れ替えることで、タイプ2の他の動詞でも一覧表を作ることができます。
例えば、「私はご飯を食べる」であれば、「म खाना खान्छु |」という感じになります。
タイプ2の動詞を使った活用の例を以下に記します。
ネパール語 | 日本語 |
तपाईं खाजा कनुहुन्न | | あなたはカジャを食べません |
तँ स्याउ दिन्छस् | | お前はりんごを与える |
उनी किन रुन्छिन ? | 彼女はなぜ泣く? |
タイプ3(複数母音で終わる)一覧表
語幹に” आउ “の形を持つ動詞は、” तपाईं “と” उहाँ “以外の時に” उ “に鼻音” ँ “がつく以外は、基本的にはタイプ1と同じです。
動詞のタイプ3の肯定文の一覧表です。
次に、否定文の一覧表です。
” तपाईं “と” उहाँ “は括弧の中が正しい活用なのですが、実際は括弧でくくられていない方が使用されます。その理由については、タイプ2で解説した通りです。
これらの表にある活用語尾を同じタイプの他の動詞の語幹と入れ替えることで、タイプ3の他の動詞でも一覧表を作ることができます。
例えば、「私は時間を調整する」であれば、「म समय मिलाउँछु |」という感じになります。
タイプ3の動詞を使った活用の例を以下に記します。
ネパール語 | 日本語 |
हामी खाना पकाउँछौँ | | 私たちはカナを料理します。 |
तपाईं यो बनाउनुहुन्न ? | あなたはこれを作りませんか? |
उनी काम गराउँछन् | | 彼は仕事をさせます。 |
最後にひと言
言語は繰り返しが重要です。脳は、一度行ったことより、繰り返し行った方が定着し覚えることができます。
表を作って、発音しながら、手で書いていくと覚えやすいです。また、会話で出来るだけ動詞を使うようにしていきましょう。
練習すればするほど、自分のものになります。
動詞を活用させたり、男性系、女性形という考えは、日本語で意識することはあまりありません。しかし、ネパール語では重要なので、何度も使って覚えてください。
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