転落事故の危険-ネパールで建設作業はしたくない
ネパールでは建設ラッシュです。
今までは、村では石と土、または竹と波板で家を作っていました。都市部ではレンガとセメントだけで家を作っていました。
しかし、ここ10年ほどで建設方法が大きく変わってきています。鉄筋を入れた柱と梁を作り、壁以外はコンクリートで作るようになっています。
それでも、鉄筋は直径15mmとかでしたが、地震後は直径20mmや30mmが多用されるようになりました。地震に耐える安全設計ですね。
しかし、建設作業員にとって安全な作業環境は期待できるものではありません。
建設作業は危険と隣り合わせ
ネパールでの建設作業はとても危険です。近代的な道具が少なく、手作業なところが多いからです。
セメントや石、レンガを運ぶのは手作業です。また、セメントを混ぜるのも手作業な場合が多いです。また、軍手、ゴーグル、ヘルメットなどは使われません。
それらを揃えるだけで、作業員何日分かのお金が飛んでいくからです。
ですから、作業員はボロボロの服で、ドロドロになって、サンダルで作業します。そして、低賃金で搾取されていきます。
また、建設資材が盗られないように、現場に住み込みさせられます。もちろん、カーテンで囲った普通の屋外です。
しかし、今回の話題のメインは足場です。
足場は基本は竹で作る
ネパールで、足場の材料といえば竹です。
大きなビルの建設作業では鉄管など近代的な道具が使われるようになりましたが、一般的な家を建てる場合はまだまだ竹が使われています。
竹をロープで縛って、まっすぐ立てた後、家に向かって地面に平行に竹を組み合わせます。そして、その竹は壁を作ったレンガのの隙間に差し込んでいきます。
その竹一本の上に乗ってバランスを取りながら作業するのが普通です。安全を意識した作業場では、作業するところの足場として波板を利用する場合もあります。
ちなみに、竹を縛る縄も麻ひものようなものです。ビニールでないのが唯一の救い。
これで、地上5階とか6階までは普通に作業をします。外のセメント作業や色塗り、タイル貼りなど、すべてです。
彼らに命綱はありません。ちなみに、冒頭の写真は地上4階の作業の写真です。
竹の固定はレンガの穴
足場の竹が壁に突き刺さっている感じが分かりますか?
壁をレンガを積んで作るときに、竹が一本入る隙間をあらかじめ開けておきます。そこに、足場の竹を突っ込んで足場を固定します。
もちろん、室内側でも縄などで縛って竹が抜けないように固定はします。
しかし、縛っているだけですし、レンガ一個分の10センチもない薄い壁に固定しているわけです。
壁が崩れれば、足場もろとも崩れ落ちます。
また、竹を垂直に継いでいくのもひもで縛るだけです。彼らは慣れているので、問題ないと言っています。
しかし、事故が起きないわけではありません。
足場から落ちて骨を折った人もいますし、転落した時に敷地内の塀の侵入防止用のとがった鉄筋に突き刺さって亡くなった人もいます。
そうなると、その家は人が住めなくなります。迷信が普通に信じられる世界なので、住むとよくないことが起こるのだとか。
まとめ:足場作業はするな
ボランティア作業でネパールに来られたりする、やる気にあふれた若者たちがいます。彼らに言いたい。
君たちの命は安くない。安全じゃないと思えば、決してその作業をしてはいけない。
だれも責任を取ってはくれないし、後悔するのは君自身です。
せめて、日本の現場で安全のために使うもの、ハーネス、ヘルメット、グローブなどは絶対に使用してください。
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