ネパールの世界遺産パタンで日雇い労働者!?

ネパールの世界遺産パタンで日雇い労働者!?

ネパールにはユネスコに登録された世界遺産があります。といっても、どこかの寺院というわけでなく、町全体という複合登録された世界遺産です。

カトマンズ盆地の南にはラリトプル市があります。その中心部はパタンと呼ばれており、世界遺産に登録された町の一つです。

古い寺院が立ち並んでおり、地元の人とも触れ合える活気ある観光スポットです。しかし、世界遺産だから、観光地だから安全というわけではありません。

重大な犯罪は少ないですが、スリや詐欺などは多発していますし、色々な人がいますので、ぜひ注意して観光してください。

様々な人が集まるパタン王宮

パタン王宮は、ネパールでも有名なぼったくり価格チケットスポットです。誤解の無いように言っておきますが、国がぼったくっているだけで、正規料金です。どのくらいひどいかは「ネパールは極貧なので、不平等だろうが外国人からお金を取る」をご覧ください。

パタン王宮のチケット売り場の後ろに石でできた建物があります。

いろんな人がそこで腰を休めています。ネパールの縮図が表れているので、ぜひ確認してみましょう。

まず、チケット売り場の前には外国人観光客がたくさんあつまっています。チケットを購入すると、王宮広場の中に入ることができ、パタンのその他寺院にも無料で入ることができるようになります。歩き疲れた観光客が腰を休めるには最適な場所です。

その横には、地元のおじさんたちが暇を持て余して雑談をしています。ネパールでは男性に権威があるのですが、まともに働かないのも男性です。女性はたいてい仕事には一生懸命取り組んでいますが、男性は違うので、友達と集まって何もせず無駄な話し合いや賭けゲームをして遊んでいます。

そして、若いネパール人男女も待ち合せたり、デートの途中で腰を下ろしています。彼らは洋服を着て、きれいな格好をしています。

そして、さらに汚めのボロボロな服を着た日焼けしたおじさんたちも、黙って座っています。彼らは日雇い労働者です。仕事が無いのですが、昔からの習慣でここに集まっていて、人が必要になった時に呼びに行けば数百ルピーで仕事をしてくれます。

このように、たくさんの種類の人たちがネパールには共存しています。

土地も資産もあって、働く必要がなく、人を雇ったり家賃収入のみで豪華な生活ができる人たちがいます。その一方で、住む家がなかったり、今日食べるご飯代すらない人たちもいます。

多くの若者たちは仕事をすることがなく(雇ってもらえず)、親の金で高級バイクを乗り回し、iPhoneを手にAirPodsで音楽を聴く生活を送っています。働く意思が当ても、ほとんどの場合は金とコネがなければ雇ってもらうことはできません。

日雇い労働者はどんな仕事をするのか?

多くの場合、声がかかるまで仕事がないので、ボーっと広場に座っています。そのまま、寝てしまう人もいます。声がかかると、一人また一人と仕事に行きます。

バザールの側なので、物を運ぶ仕事が多いです。玉ねぎやジャガイモ、米やガスシリンダーなどを人力や自転車で運びます。重いものは一袋30キロとか40キロします。それを店から個人の家に運んだりするわけです。

家電屋も多いので、洗濯機や冷蔵庫を紐一本で担いでいるおじさんたちをよく見かけます。後ろから見ると、人が隠れてしまって冷蔵庫が歩いているように見えます。

建設ラッシュなネパールでは、新しい家がどんどん建っています。コンクリートや柱と床を作り、レンガで壁を作ります。下の階から作り、生活を始めます。それで、店が営業していたり、人が住んでいても上層階は建設中何てことは良くあります。セメント、砂、石、レンガはみな人力で運びます。そのために、こういうところで集まっている人を使います。

今の時期は米の収穫の季節なので、そのために人を雇う人も多いです。稲を植えるときも人力ですので、多くの人が仕事を手にすることができます。

道路工事や水道工事のために、地面を掘ったり、埋め戻したりする人もこの類の人が多いです。

他にも、引っ越し業者がないネパールでは、トラックを借りて引っ越しをします。物を運ぶ人として数人呼ぶ場合も多いです。家からタンスやベッドを出すときに役立ちます。

この人たちは、雇われるとその日の給料大抵数百ルピーと、ご飯(カナ)、おやつ(カジャ)とチヤが提供されます。カナは大抵お替り自由ですので、お腹いっぱい食べることができます。ですので、その日の仕事さえもらええれば生きていけるということです。

実は日雇い労働者の方が儲かっていることもある

私がネパールに来た2013年ごろでは、日雇い労働は建設現場で大体300ルピーから500ルピーでした。しかし、最近では700ルピーくらいとか、1000ルピー払わないと重労働はしないという人が多いです。

重いものを人力や三輪車で運ぶ場合は、150ルピー以上、大抵は300ルピーとかで運んでくれます。冷蔵庫から、大量の野菜、建設現場の足場で使う10メートル近い竹からセメントまで、なんでも運んでくれます。

彼らは毎日働いているので、実は結構儲かっています。

なぜなら、パサル(お店)の店番や倉庫の品物の出し入れなどの仕事では、週6日朝の10時から夜の7時まで働いて、月数7千ルピーくらいしかもらえないことが多いです。しかも、パサルの仕事はご飯は出ません。

こうなると、定職についているのに働いてもお金が減っていくワーキングプア状態です。

どちらにしても、パタン内であれば、12フィート(3.6メートル)角の部屋でひと部屋5000ルピーから7000ルピーです。家賃払ったら、食事代も何も残りません。ですから、一部屋に数人で済むのは当たり前です。建設の仕事をする人は部屋代を払いたくないので建設現場に住み込みます。

50万ルピーとか100万ルピー以上する最新のバイクを乗り回す若者がいる側で、こういう貧困層の人が生活しています。人は生まれる家を選ぶことができないので、苦しい生活をしている人を見ると、とても悲しくなります。

しかし、不思議な事にネパールの人は自分の状況に絶望して生きるのをやめる人は比較的少ないです。それぞれ自分の状況の中で出来ることをして、小さな喜びを見つけて楽しんで生活しています。

日本のように仕事や生活に忙殺されて、ただ時間が過ぎていくのとは違い、ネパールの人は生きている感がします。

皆さんもぜひネパールに旅行に来て、自分の目て力をもらってください。