“पर्छ”(パルチャ)のいろいろな用法-ネパール語文法

“पर्छ”(パルチャ)のいろいろな用法-ネパール語文法

ネパール語で日常会話でよく使われていて、文法書であまり解説されていないものと言えば” पर्छ “(parchha)です。ネパール語の発音と日本語の発音は合わないのでカタカナでは書きたくないのですが、念のためにカタカナにすると”パルチャ”になります。

他の使い方や似た発音の単語もあるのですが、 今回は よくある用法を5つに絞って説明します。

” पर्छ “(parchha)の特徴

” पर्छ “(parchha)は、よくこの形で使われますが、原形は” पर्नु “(parnu)です。

この動詞は非人称動詞、つまり活用が行われません。

動詞の現在形の活用を前回取り上げた時に、「対応する人称代名詞に従って語尾が変化する」という点を説明しました。しかし、この動詞に関しては同じ時制、つまり現在形、過去形、未来形などの範囲内であれば、語尾が活用されることはありません。

主語が物の場合はもともと活用(語尾が変化)することはありません。この動詞の場合、人が主語になった場合は文法的に言うと「主格が打ち消され」ます。

主に主語に” लाई “(laai)が後ろに付き、「○○にとって」という意味に代わります。場合によっては、” ले “(le)が後ろに付く場合もありますが、どちらにしても活用は行われません。

この単語の意味は使い方によって色々変わるのですが、メインのイメージは「発生する」「居る」「在る」です。

使い方を見ると、よく理解できると思います。

5種類の使い方

1.好き/嫌い

一番有名な使い方は、「○○が好き」「○○が嫌い」という事実を述べる場合です。

キーフレーズ発音意味
मन पर्छman parchha好き
मन पर्दैनman pardaina嫌い

構文があるのですが、目的語が何かによって形が変わります。主語は必ず” लाई “(laai)をとります。

○○(物)が好き/嫌い

構文:(主語)+लाई (目的語:物) मन पर्छ |

文法構造通りに直訳すると、「(主語)にとって(目的語:物)に思いが在る」となります。

主語を「○○にとって」とする事で、主語は実質的に主語ではなくなります。そして、目的語が主語に成り代わります。これを主格が打ち消されると言います。

意訳すると、「(主語)は(目的語:物)が好きだ」となります。

例文(肯定文) मलाई स्याउ मन पर्छ |
発音 malaai syaau man parchha
意味(直訳) 私にとってりんごに思いが在る
意味(意訳) 私はりんごが好きです
例文(否定文)तपाईंलाई रातो मन पर्दैन |
発音tapainlaai raato man pardaina
意味(直訳)あなたにとって赤に思いが無い
意味(意訳)あなたは赤が嫌いです

○○(人)が好き/嫌い

構文:(主語)+लाई (目的語:人)+लाई मन पर्छ |

文法構造通りに直訳すると、「(主語)にとって(目的語:人)に思いが在る」となります。

人を目的語とするときは、目的語に後置詞” लाई “(laai)が付きます。単語の意味は「~に」「~にとって」ですが、今回は前者の意味をとります。

主語を「○○にとって」とする事で、主語は実質的に主語ではなくなります。そして、目的語が主語に成り代わります。これを主格が打ち消されると言います。

意訳すると、「(主語)は(目的語:人)が好きだ」となります。

例文(肯定文) तिमीलाई बुबालाई मन पर्छ |
発音 timiilaai bubaalaai man parchha
意味(直訳) 君にとって父に思いが在る
意味(意訳) 君は父が好きです
例文(否定文)उनलाई दिपेन्द्रलाई मन पर्दैन |
発音unlaai dipendralaai man pardaina
意味(直訳)彼にとってディペンドラに思いが無い
意味(意訳)彼はディペンドラが嫌いです

○○(動作)が好き/嫌い

構文:(主語)+लाई (目的語:動詞の原形のनुをनに変える) मन पर्छ |

文法構造通りに直訳すると、「(主語)にとって(目的語:動作)に思いが在る」となります。

動詞の原形は” नु “(nu)で終わります。この” नु “(nu)を” न “(na)に変えることで、動詞を動名詞にできます。つまり、名詞のように扱うことができるようになります。

主語を「○○にとって」とする事で、主語は実質的に主語ではなくなります。そして、目的語が主語に成り代わります。これを主格が打ち消されると言います。

意訳すると、「(主語)は(目的語:動作)が好きだ」となります。

例文(肯定文) तँलाई खाना खान मन पर्छ |
発音 tanlaai khaanaa khaana man parchha
意味(直訳) お前にとってカナを食べることに思いが在る
意味(意訳)お前はカナを食べることが好きです
例文(否定文)उसलाई काम गर्न मन पर्दैन |
発音uslaai kaam garna man pardaina
意味(直訳)あいつにとって仕事をすることに思いが無い
意味(意訳)あいつは仕事をすることが嫌いです

2.~すべき/~しなければならない/~する必要がある

「○○をしなければならない」というフレーズもよく使います。構文は非常に簡単で以下の通りです。

構文:(動詞の原形) पर्छ |

この構文の主語は、” पर्छ “(parchha)の直前に来る動詞が他動詞の場合、主語の後ろに” लाई “(laai)”または ले “(le)が付きます。自動詞の場合には付けても良いし付けなくても良いです。

例文(肯定文)मैले काम गर्नु पर्छ |
発音maile kaam garnu parchha
意味私は仕事をしなければなりません
例文(否定文)तपाईं घरमा आउनु पर्दैन |
発音tapaain gharmaa aaunu pardaina
意味あなたは家に来なくてもよいです

この時、日本語では「しなければならない」の反対は「してはいけない」になるのですが、ネパール語では「しなくてもよい」になります。つまり、以下のようになります。

肯定文否定文
~すべきである~すべきではない
~しなければならない~しなくてもよい
~する必要がある~する必要がない

今回の主題からはそれてしまいますが、おまけとして説明しておきます。もしこれを、日本語的な「してはいけない」にするためには、” पर्दैन “(pardaina)の代わりに” हुँदैन “(hundaina)を使用します。これは、「~してよい」を意味する” हुन्छ “(hunchha)の否定形です。

例文 तपाईं घरमा आउनु हुँदैन |
発音tapaain gharmaa aaunu hundaina
意味あなたは家に来てはいけません

3.いくら?(値段)

値段を聞くためのフレーズは買い物の時に役に立ちます。よく使うものでは、「いくらですか?」「○○ルピーです」などがあります。

” पर्छ “(parchha)を使わなくても” हो “(ho)でも表現できるのですが、こちらもネパール人がよく使うフレーズです。

構文:कति पर्छ ?

構文:(値段) पर्छ |

” पर्छ “(parchha)の前に度合いを尋ねる疑問詞である” कति “(kati)を置くか、数字を置くかだけです。疑問文にするには語尾を上げればいいだけです。

例文यो कति पर्छ ?
発音yo kati parchha ?
意味これはいくらですか?
例文२०० पर्दैन ! १५० रुपियाँ पर्छ |
発音dui saya pardaina ! ek saya pachas rupiyaan parchha
意味200しませんよ!150ルピーします。

4.どこにある?(場所)

これは対象の物がどこにあるかを明らかにするフレーズです。具体的には一定の地域の中のどこにあるかを説明するものです。

場所を尋ねるだけなら” छ “(chha)で事足りるのですが、場所をさらにはっきりさせたい時に使います。「それはタメルにある」「タメルのどこにある?」「○○にある」という流れで使います。

構文:कहाँ पर्छ ?

構文:(場所) पर्छ |

” पर्छ “(parchha)の前に場所を尋ねる疑問詞である” कहाँ “(kahaan)を置くか、場所を表す言葉を置くかだけです。疑問文にするには語尾を上げればいいだけです。

例文त्यो पसल पुलचोकको कहाँ पर्छ ?
発音tyo pasal pul-chowkko kahaan parchha ?
意味その店はプルチョークのどこにありますか?
例文त्यो पुलचोक]को लबीममोल भित्र पर्छ |
発音tyo pul-chowkko LABIM MALL bhitra parchha
意味それはプルチョークのラビンモールの中にあります

5.何かが起きる/そうなっている

” पर्छ “(parchha)は、天候や状態を表すためのフレーズとして使うこともできます。「雨が降る」「夕方になる」などです。

天気や状態を表すためには、名詞によって対応する動詞が異なったりします。しかし、例に示される雨、時間帯を表す言葉などは” पर्छ “(parchha)で表します。

構文:(名詞) पर्छ |

” पर्छ “(parchha)の前に状態を表す名詞を置くだけです。疑問文にするには語尾を上げればいいだけです。

例文भोलि पानी पर्छ ? भोलि पानी पर्दैन |
発音bholi paani parchha ? bholi paani pardaina
意味明日雨は降りますか?明日雨は降りません。
例文हिजोआज ५ बाज साँझ पर्छ |
発音hijoaaja paanch baje saajha parchha
意味最近は5時は夕方になって(薄暗くなって)います

まとめ:便利なだけにややこしいので構文で覚えるべし!

” पर्छ “(parchha)はここに例で挙げただけでなく、他にも組み合わせる単語によって意味が変わります。そのため、辞書で調べてもたくさんの意味が出てくるので、どの意味が適当か分かりにくいです。

でも、意味は構文によって変わってくるので、例に挙げたようないくつかのパターンさえ覚えておけば、意味を理解できます。

最初にメインのイメージは「発生する」「居る」「在る」 と述べている通り、どの構文でも文法に従って直訳すればこの意味が当てはまると思います。しかし、実際に日本語として意味が通るようにするには意訳が必要です。そのため、構文で覚えるようにしましょう。