過放電したバッテリーをたたき起こす

過放電したバッテリーをたたき起こす

バッテリーの死亡時期はいつなのでしょう?

ハードなコンディションで使い続けると2年、軽いコンディションで使い続けると4,5年といわれています。
もちろん、良いメンテナンスをしていればの話ですが。

メンテナンスしないといけないことを知らず、そのまま放っているあなた!
あなたのバッテリーはもう死にかけているかもしれません。

過放電してしまっていても、今すぐ高き起こせば生き返るかもしれません。

そもそもバッテリーとは、希硫酸の中に使っている電極に電気を流すことによって電気を蓄えたり、引き出したりする仕組みです。
で、電気を引き出す、つまり放電する最中に化学変化で発生する硫酸鉛という物体があります。
これは通常は電解液の中に溶け込んでいるのですが、放電状態が長く続くとこれが結晶化して、電極の表面に引っ付いてしまいます。
これが俗にいうサルフェーションです。
この結晶は電気を通さないので、電極が徐々に覆われて電気を通せなくなり、バッテリーの能力が失われていきます。


しかも、このサルフェーション。
除去可能とか言われていますが、完全除去はできません。
しかも、一度結晶化したものは、特別な化学製剤でもない限り、再び分解することは不可能です。


こうならないために、一刻も早く充電しなければなりません。


しかし、過放電つまりバッテリーが放電しきった10.5V以下になった場合、通常のインバーターでは充電できません。
なぜなら、インバーターの保護機能として、壊れたバッテリーで動かないようにしているからです。
また、多くの充電器では低すぎる電圧のバッテリーでは充電機能そのものが動きません。


さて、インバーターでも充電器でも、充電できないならどうするか?


蹴り飛ばします。
いや、電気的な意味でショックを与えます。

いろいろやり方はあるのですが、紹介していきましょう。

適度なサイズのソーラーパネルをコントローラーなしで短時間直結する。
例えば、100Ahのバッテリーの急速充電は10Aくらいです。
100Wのソーラーパネルなら、7Aくらいながれます。
が、コントローラーなしなら実はさんさんと太陽が照り輝いていると、22Vから30Vくらい発生しています。
これを、30分ほどだけつなぎます。
そうすると、滝から水が落ちてくるかの如く、バッテリーに急激に電気が流れ込み、電圧も上昇します。
この状態なら、充電器で充電が可能です。
ちなみに、1時間を超えて行うと、発火、爆発の危険性があります。
開放型のバッテリーで、補充液を少し多めにして、ふたを開けて行います。
シールドバッテリーでは決して行ってはいけません。

といって、多くの人は、ソーラーパネルを持っていませんよね。
では、もっと少し簡単な方法。
インバーター屋さんには、一台10万から20万くらいする、無理やり電気を流し込む強力な充電器を備えているところがあります。
そこにお願いして充電してもらうことで、起こすこともできます。

いや、自分でやりたいんだという方。
満充電された他のバッテリーを借りて、並列接続します。
10分から60分ほど。
接続するバッテリーのサイズは、充電対象の半分くらいから、2倍くらいまでのアンペアアワーのバッテリーです。
その後、接続を解かずに一緒に充電します。
この時、ヘルパーになっているバッテリーにかなりの負荷がかかりますので、気を付けてください。
1時間ほど充電したら、ヘルパーのバッテリーを外しても、充電できるかと思います。

ちなみに、ここでいう充電器はICタイプ(ネパールではデジタルという)のインテリジェント充電器ではありません。
なかにコイルを装備した比較的重い充電器です。

この充電器は中国製の24V対応ので大体4000ルピー前後、インド製の高いので8000ルピー前後します。
私は前者を持っています。

さて、電気が入って言っているかも確認しなければなりません。
電流値を図るために、DC電流をはかるクリップ型のマルチメーターが必要です。

元気が無いバッテリーには、充電器をつないでも電圧だけが上がって、全然電流が流れません。
流れても、せいぜい1A程度。具合が悪いと0.1Aも流れません。
これが、たたき起こすと、最初は3Aくらい流れるようになり、充電を続けていくと10Aくらい流れるようになります。
ちなみに、完全に起こしきるまでには3日から長くて1週間充電し続ける必要があります。

一般的に通常充電は8時間までとか言われますが、そんなの関係ありません。
充電器が弱ければ壊れてしまいますが、弱ったバッテリーを起こすには、このくらい必要です。

起きかけた状態でインバーターを使って充電することもできますが、
インバーターでは起こしきるまで2週間以上かかることもあります。
下手に頭のいいインバーターは充電を弱めてしまって、起こしきることができないことも。
ですから、充電器を使いましょう。

写真は、先日ハムロバザールから購入したバッテリーとインバーターです。
Exideの150Ahのチューブラーバッテリー2台と、UshaのZentra1400VAのSinewaveインバーターです。
オフィスのインバーターシステムの増強用に購入したものです。
ちなみに、インバーターの上に載っているのは、24V対応の中国製充電器です。・

最初見に行った時はひどい状態でした。
カトマンズで計画停電がなくなったので、取り外して5カ月放置していたとのこと。
買ってから10カ月ほどというのですが、バッテリーは深放電。
ひとつは2V、もうひとつは4Vでした。
この状態なら通常はスクラップです。
インバーターにつないで起動確認をトライしたものの、まったく動きません。
新品ならセットで8万ルピー以上するものなので、28500ルピーでディールしていたのですが、私は買取拒否。
その後、深刻さを説明し、メンテナンスを依頼しました。
もし、復活出来たら購入すると交渉。

ですが、仕事の都合で遠方に行くことが決まり、メンテナンスの時間が取れなくなったと後日連絡がありました。
ワランティーカードがあれば、何とかしたのですが、それも紛失したとのこと。
普通、深放電したバッテリーはワランティー交換も拒否されるのですが。。。

で、交渉の結果、リスクを承知で23000ルピーで買い取りました。

チューブラーで電極面が広いこと、新しいので深放電してもサルフェーションが少ないかのせいも考慮しました。

で、上記の方法でメンテナンスをした結果、元の7割くらいの性能まで戻りました。
充電を続けて、使い込んでいけば申し少し回復するかもしれません。

現在もテスト中で、フル充電後100Wの電球を3つ点灯し、約3時間ですが24Vをぎりぎり切らないところで頑張っています。

この状態に復活させていれば、通常の買取価格は恐らく4万5千ルピー以上になるでしょう。
良い買い物をしました。

が、周りの人からは、この停電がない中でこの買い物はおかしいんじゃないかとささやかれています。

とはいえ、バッテリーは時間と手間をかければ、ある程度までは復活させることができるという事が実証できました。
まぁ、今まで10台近くこんな作業をして、ほぼほぼの確証があったので買ったわけですが。。。

ネパールのカトマンズ盆地にお住まいで、メンテナンスをご希望の方は個人的にご連絡ください。