何度もかかってく間違い電話-ネパールあるある
ネパールに住んでみると分かるのですが、電話番号というのは個人情報でも何でもないということが分かります。
日本だとMNPなどもあり電話番号を手に入れたら、端末を変えても、キャリアを変えても、番号はそのままの事が多いです。特定の個人に半永久的につながる方法を手に入れたことになります。
かくいう私も、電話番号は何度か変わっていますが、メインの携帯電話の番号だけは高校生で初めて携帯を手に入れた時から変わっていません。
スマートフォンがシングルSIMのみしか対応いなかったり、携帯端末が高価だからからなのかもしれませんね。
ネパールでは、電話番号は何度も変更します。というか、SIMを何度も変更します。そのため、誰かの電話番号を手に入れても相手がSIMをよく変更する人なら、「この番号はまだ彼/彼女につながるのだろうか?」と考えなければなりません。
では、どうしてそんなことが起こるのか理由を考えてみましょう。
一つの理由は、複数SIM持ちがスタンダードだからです。
古くからあるキャリアは国営のNTC(NepalTelecom)、民営のNcellがあります。他にも、UTLや新しい所ではSmartCellなんて会社もあります。どの会社も自社の番号へは格安で電話ができ、他社間通話は割高になります。
そして、SIMそのものは50ルピーから100ルピーで購入でき、プリペイド式が基本のため、固定費はほとんどかかりません。
それに加えて、ネパールはほぼすべての携帯電話がデュアルSIM対応なのです。なので、友人が持っているSIMのキャリアの種類に応じて自分の使用するキャリアも増えるわけです。NTCとNcellのSIMを持っていれば、人に応じて発信するSIMを切り替えるわけですね。
ただ、最近ではモバイルインターネットも主流になりつつあり、Facebook(ネパールではいまだにメインのSNS)プランやナイトプランなども充実しています。データパックは1日パックから、7日間、30日間パックなど様々な期間のものが用意されています。
自分が使用していないキャリアで安いプランが始まったら、そのキャリアに乗り換えるなんてことも普通にあります。
二つ目の理由は、携帯をシェアするからです。
ネパールではスマホも普及していますが、ここ5年ほどで急激に伸びたものです。多くの人は今だに1500ルピーとかのディスプレイが1.5インチくらいの、インターネットが使えない昔のガラケーのようなタイプを使っています。
子供にはそういう携帯しか持たせない親もいます。または、電話を持たせない人もいます。
スマホも普及してはいますが、欧米と比べるとアジア専用の格安モデルとはいえ購入するには月収の2,3倍は普通に払う必要があるわけです。なので、比較的お金のない家庭では家族で1台しかスマホが無いなんてことも良くあります。
それで、家族でシェアしたり、出かけるときに子供が連絡用にもっていったり、使う人が日によって変わるわけです。同じスマホで、アプリのアカウントは切り替えて使うわけですね。
携帯はお金がかかるので持たず、近所の人に必要な時だけ借りるなんて人もいます。
なので、電話を掛けても必ずその人が出るかも分かりません。家族が出たり、友人が出たり、田舎から訪ねてきた親族が出たりもします。
それで、自分の携帯以外を使う事も多いので、よく使う番号はみなさん大体記憶しています。
三つ目の理由は、電話番号が頻繁に再利用されるからです。
一番目の理由で、SIMがキャリアによって大量発行され、多くの人が複数SIMを持っているという事が取り上げられました。それに応じて、電話番号が足りなくなるわけです。
携帯番号は日本では11桁ですが、ネパールでは10桁です。そして、9から始まります。約1億通りの番号があるはずなんですよ。でも、人口2930万人のネパール人が1人複数SIMを持てばどうなりますか?
参考までに私は、ネパール在住6年ですでにネパールのSIMを6個持っています。メインの携帯用に2種類、家電用に1つ、モバイルルーター用に1つ、お客さん貸し出し用に1つ、期限切れが1つです。
最後の一つが、「期限切れ」となっていますね。これは何かというと、プリペイドなので、いつまでも使えるわけじゃないという事です。チャージしない、発信しないの状態が6カ月続いたら電話番号が使えなくなり、他のSIMに回された気がします。
しかも、休眠期間もなく、いきなり新しいSIM買った人の番号に採用されるという。。。
つまり、このように間違い電話は起こる。
ネパール人の感覚として、電話番号は変わるものなのです。
新しい携帯電話を買ったら、SIMも新しくしたとかよくあります。また、古い携帯は古いSIMを入れたまま誰かに売ったりあげたりすることもあります。
そして、電話する時自分の携帯以外を使う事も多いので、暗記している電話番号でかける。でも、電話番号はすでに変わっている。。。
なので、間違い電話は日常茶飯事です。
この記事を書こうと思ったのも、ついさっき間違い電話がかかってきたからです。
では、間違い電話にどう対応したらいいのか。
ネパールでは、人に謝ることはしません。格好悪いからです。
電話をかけて思っていない人につながると、2種類の反応をします。
まずは、だれか分からないので怖いから無言で切る。
これは、本当に失礼ですね。こちらは電話に出てもしもし(ハロー?)と言っているのに、反応しないって。。。でも、一番多い反応です。
もう一つは、掛けたい人につながっているか確認する。これが面倒です。
矢継ぎ早に質問してきます。「おまえは誰だ?」「どこにいるんだ?」「○○はいないのか?」という感じです。この時、敬語など一切使いません。
しかも、こちらが「あなたはどなたですか?」「誰宛にかけていますか?」と聞いても答えることはしません。
自分が狙ったところに掛かっていないと気づいたら、質問に答えずいきなり電話を切ります。10人に一人ぐらい、質問に答える人もいますが、かなり稀です。
そして、数分後にまた同じ人から掛かってくるわけです。一回だけの時もありますが、大体2,3回掛かってきます。そして、同じやり取りが行われます。
「電話交換士がつないでるんじゃないんだから、掛けなおしたら正しいところにつながるわけないでしょう。あなたの間違いだって、いい加減に気づけ!」と毎度思います。
対応の仕方は簡単。
相手の質問に答える必要はありません。こちらから、質問してやりましょう。
あなたは誰だ?「タパイン コ ホ?」
誰に電話した?「カスライ フォン ガレコ?」
違う。「ホイナ」
あとは、こちらから切ってやればOKです。
失礼に思われるかもしれませんが、これがネパールの一般的な間違い電話の対応です。丁寧に対応してあげようと思えば、やるせない気分になるのはこちらです。
気軽に対応して、「なんだまた間違い電話か」ぐらいの感じで対応すると思います。
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